ゆずぽんのブログ(仮)

オタクになりきれない虚無な人間の思い出を綴ります

上田麗奈さんの新アルバム「Nebula」感想

 こんにちは!ゆずぽんです!

 

 上田麗奈さんの新アルバム「Nebula」が8/18に発売されました。

 

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 自分は昨年春に出た上田さんのその前のアルバム「Empathy」に触れてその独特でアーティスティックな雰囲気に引き込まれた人間なので、今回のアルバムもすごく期待感が膨らんでいました。2ヶ月ほど前から少しずつ情報も解禁されていたのでそれを追いつつ発売を待ちました。

 

 今回はその「Nebula」を聴いて感じたことなどを綴りたいと思います!(各曲についての部分がそれなりに長くなったので、アルバム全体についてのところだけでも見てってください)

 

[:contents] 

はじめに(新アルバム発表を受けて)

 まずこれまでのアルバムで冬→春と来ているので今回は夏をモチーフに、そっすね、流れに沿ってますね。

 しかし上田さんは夏がお嫌いらしいのでそこからテーマは「拒絶」→「挫折」に。

 

 ...ほう?

 また予想外な方向にいくんすね...

 ご自身の挫折の経験をアルバムに込められると。

 

 しかしテーマがかなりセンシティブなだけに、俄然期待が高まりましたね...

 

 そして、最初にアルバムの全10曲のタイトルと、8曲目の「anemone」のMVが公開されました。

 

https://www.youtube.com/watch?v=frRBfnGSB44

 

 最初に曲を聴いた印象としては、すごく吹っ切れたような雰囲気で気持ちが整理されたような穏やかな印象を与えてくれました。

  ...ジャケットの雰囲気とは違う感じがするけど、挫折に関するエピソードはこの曲の前に来てここに繋がると考えるのが自然かな?それより、この後にあと2曲あるのが意外だな...この曲をラストにしても綺麗に締まりそうな感じがするのに...

 

 

 そんなことを考えつつ、発売を迎えここまで何度か聞いたので、まずはこのアルバムの流れをおさらいしながらアルバム全体を振り返って感じたことをいくつか記したいと思います。

 

アルバム全体の総括と感じたこと

 流れとしては、

・普段過ごしていた中で挫折にぶつかり、段々と現実を逃避するようになる

・その後自身の中で渦巻いていた負の感情を描く

・ひとしきり絶望したのち、自分と向き合い挫折を乗り越えるヒントを得る

・挫折から立ち直ったときの心情の変化を描く

 

 といったところでしょうか。最初になんとなく予想していた流れとは大体合っていたかと思います。

 

 まずはやはり、全体を通して独特の世界観で表現されているというのを感じましたね。Empathyの時から(声優さんの方々の曲についてそんなに詳しくないなりに)上田さんのアルバムは他と比べて異彩を放っていたように感じましたが、今回もやはり予想したとおりでしたね。特に中盤のあたりはその傾向が強く表れていて、聴く人にとって特に強い印象が残るかと思います。それとともに、その世界観の独特さによる多くの表現をなかなか自分の中で落とし込んで理解するのが難しかったです。

 

 アルバムの流れについてですが、最初に普段周りに見せている上田さんの姿を提示したうえで、そこから内面を生々しさとともに段々とさらけ出していく、という前半の一連の流れが非常に上手くできていると思いました。そして、後半に差し掛かるとそれまでの夢の中のような浮遊感から覚め現実に戻ってきたかのような感覚を覚え、ゆるやかにでも前に進みだしたような流れに心地よさを感じました。

 

 今回のアルバムは上田さんの実体験も交えて作成されていたということで、自分自身の挫折の経験と照らし合わせて聴く場面が多くありました。その中で共感できるものもあれば、そうだったっけな?ってものもあり、非常に興味深かったですしこれからの人生における1つの参考にしていきたいと思っています。

 最後の曲「wall」では、壁を超えるという表現があり、自分としてはそれは人生の至上命題の1つみたいなところもあり簡単に為せるものではないと思ってましたが、この曲を思い出して少しずつでも超えていきたい…!という良い刺激ももらえました。

 

各曲について

 ここからは各10曲についての感想や感じたことをまとめていこうかと思います。的外れなことも多分書いてありますけど多めに見てやってください...(予防線)

 

 

1.うつくしいひと

 上田さんの普段周りに見せておられるポジティブな面を描いた曲だそうです。人間誰しもできる限り自分のマイナスな感情は悟られたくないと思うものなので、そういった心理の現れでしょうか。

 自分の中で外に出ている自分のイメージと実際の自分の内面を対比しているような様子が感じ取れました。特に2番のAメロのところが顕著に出てますね。この後の展開に比べてまだ心に余裕がある段階ではあるらしいですが、すでに心に秘めている不安が見え隠れしているように感じました。

 

 このアルバムの名前である Nebula...星雲 に関連するような、「星」「輝き」といったワードがいくつか歌詞に見られますが、自分を一つの星としてその周りの人たちを含め星雲というように表し、それぞれが見せる主に自分のプラスな面を輝きと表しているのかなと個人的には捉えて聞きました。2番の「眩い方へ近づく」にもリンクする部分があると思います。

 

2.白昼夢

 心がネガティブな方向に向かおうとしているとき、穏やかでいたいという「祈り」を込めて歌われた曲だそうです。

 重く響くピアノの音とゆっくりとしたテンポで展開される曲調が特徴的です。

 白昼夢について軽く調べたところ、日中目覚めた状態で夢のような非現実な空想、幻想にふけることらしいですね。現実に対して自分の思い描くもう一つの世界を重ね合わせているといった感じでしょうか。見えている現実の世界が暗い、冷たいという表現に対して、白に染める、温かい光などの対になる言葉を使い祈りを表現しているところからそう読み取りました。

 全体的にネガティブな表現で描かれている現実の世界に対して「愛すべきこの世界」という表現を用いているのが印象的でした。本当は決して世界そのものは暗いものでなく、自分の感じ取り方によってそのように見えているということの表れであり、そう気づいていながらもなかなか世界そのものを明るいものとして見ることができないもどかしさを祈りに込めているように感じました。

 

3.poeme en prose

 インスト枠。次の曲への繋ぎ。

 怒りという感情が生まれるショックを受けた瞬間を表しているそうですね。その辺の精神的なメカニズムは何となく耳にしただけで理解も実感もまだできていませんが、自身にそのような瞬間が訪れたときにそれを嚙み砕くための参考になりそうです。

 叫び声が聞こえたりと妙に生々しさがあり、最初にイヤホンで聞いたときは頭がおかしくなりそうな感覚を覚えました...

 

4.scapesheep

 一定のリズムを刻みながら小声で淡々と歌われていて、なかなか聞き慣れていない曲調で初めに聞いたときはかなり困惑しましたね。(というかこういうサウンドってなんて言うんだっけ...知識が無いので分かりません)

 歌詞も他者への拒絶感に近いものを感じ、歌い方も他者に気づかれまいとする心理からこのような小声気味の歌い方が中心になっているのかなと考えてました。

 

 しかし、ところどころ現れる過激な言葉と歌い方がさらに衝撃的でした。役者としてはああいう表現こそある意味の魅せ所なのかもしれないですね。聞いている側としてもある種の不安を掻き立てられる感覚を覚えました。(しかし今回のアルバムのテーマがネガティブなものを含むものであることを知った地点で、逆にこういう負の感情に振り切れたものが聞きたかった自分もいたので、そういう意味では期待通りだったかもしれません。)

このような感情もほぼ誰しもが抱くものであると思いますが、歌詞が独特なだけにこれを表現しようとすると人それぞれ大きく変わってくるのかなと思いました。

 

5.アリアドネ

 心の靄を覆い隠そうとする心理が働いていてかなり精神的に追い込まれている様子を表しているらしいですね。雰囲気もかなり妖しさにあふれていて、歌詞には「糸」「仮面」といったワードだけでも精神的な不安を煽るイメージがありますね。間奏が最近ずっと頭の中で流れてきておかしくなりそう

 人々が糸で操られているように振舞っているという表現から、まず、自分の心をさらけ出せずに偽っている様子、それとともに周りの人たちに対しても不信感を募らせるような様子を感じました。「人間は常に本心を周りにさらけ出すことはできない」という事実に自他ともに意識を向けすぎている状態であるのかなと思います。

 体は糸で操られているその上、顔には仮面を付けて素を隠していて、自分の全身を対象としていることでさらに強い闇を表しているようにも感じました。また、心が沈んでいるこのあたりの曲群の中でも特に他者との繋がりがリアルである曲とも言えるので、その上での不安感の強さのピークがここに来ていると考えることもできるかもしれませんね。

 

6.デスコロール

 絶望感に包まれたまま心が沈んでいく様子をゆったりと表現されていますね。余裕の無くなった心がついに抑えきれなくなった状態になった場面だそうです。

 

 最初デスコロールってなんやろと思ってましたが、お花の名前なんですね。黒い花を咲かすみたいですが、精神状態を表すのにこのような表現を使われたのはアニメ等の影響もあるのでしょうか。

 

 前半の方の歌詞からは、それまで考え込んだり悩んだりしたものの存在も感じながら、後に行くにつれて段々と思考も放棄していく心の変化を感じました。ここまでの辛く悩んでいた様子から少し解き放たれているようにも感じ、この後の展開にも影響を及ぼしているかもしれないと思いました。

 歌い方もかなり独特な曲ですが、こういう表現ができるところこそが上田さんの魅力ですね。さらに絶望感の高い歌い方もできたとかなんとか...気になりますね。前回のライブを踏まえてこの曲を次のライブでどのように見せてくださるのかも今後注目したいです。

 

7.プランクトン

 ここまでの挫折から、そのきっかけを探るために自分と向き合っているシーンです。今回のアルバム内で唯一、上田さん自身が作詞された曲だそうですね。

 海の上に放り出されたような場面で、行く先もわからずに進んでいくという表現が印象的です。ここがどこかわからずゆらゆらと浮かんでいるという心境にも海という表現がぴったりだと思います。名前のないカケラという表現も、自分を形作るものでありながら実体がないものということの表れになっているように感じますね。少しずつでもそれらに向き合っていこうという心情の変化が表れています。

 

 個人的には、ミリオンの7thライブの「Glow Map」のときに自分なりに出した解釈に少し似たものを感じました。当時の自分もこのプランクトンの時の状態に近かったのもあり、その状態にある人は、「行きたいと感じた方向に少しずつでも進みたい」、という心理に行きつくのかもしれないですね。

 

8.anemone

 ここで再びMVの曲へ、今度はその前に7曲を経てやってきました。

 長い挫折をなぞってきてからここまで来ると、やはり印象も少し変わってきますが、曲の流れとして自然につながってますね。見事なV字回復です。

 気持ちが上向き、それまでの不安も頭の中で振り返りつつも気持ちは張っているわけでなく自然体な姿で前を向けているのが素晴らしいと感じました。プランクトンで自分に向き合い始め、それが実を結んでいるのもわかります。それまでの心が沈んだ状態から、どれほどの時間を経てこの曲の心情にたどり着いたのかも個人的にはすごく気になりますね。

 

 ここまでの曲がほぼすべて非日常、非現実な情景を描く表現で進んでいた中で、この曲はMVも含めて日常感があふれているのが特徴的です。自分の中の感情や不安を描いていた空想の世界から、ここで現実と向き合うことができるようになったという気持ちの変化の表れのように感じました。

 声グラのインタビュー(だったかな?)で、東京に慣れた瞬間について聞かれていたと思いますが、もしかしたら上京してからの周りの雰囲気にも挫折のもとになったものが含まれていたのかなと疑問に思いました(自分が実際に挫折したときに、そういった経験があったので)。もしそうだとしたら、それを踏まえて「いつの間にか慣れたこの町の乾いた風が心地よく触れた」という歌詞に繋がったのかなと考えてました。MVでも町に馴染んでいくような様子を表しているように感じました。

 

 

 最後に、MVの中で度々出てきた後ろで髪を結んでラフな格好のうえしゃま、めっっっっっちゃ可愛いですね!!!()

 

 

9.わたしのままで

 anemoneを越えたその先へ、どのような新たな感情が芽生えたのか注目だった一曲。

 

 いろんな所で上田さんもお話されていたと思いますが、自分のありのままに向き合うという点において、綺麗なところだけを見せていた「うつくしいひと」と対比になっていると感じました。これまでの曲を経て訪れた変化がここで現れているように思います。

 歌詞の中ではこれまで抱いていた苦い感情にもスポットが向けられていて、過去の自分を見つめ直す様子とそれらも全て自分として受け入れて進んでいこうという気持ちを表していると思いました。

 

 朝目覚めたところから始まるanemoneに対して、この曲はCメロのあたりで日が沈み夜を迎えるシーンが訪れるので、この2曲を通して聴くと1日を通して過ごしたような感覚になりましたね。挫折を越えた先で感じたものを2曲にかけて伝えてくださったことが自分にとってもありがたいことに感じました。そして、夜を迎えて「涙の痕に灯る星を」で、このアルバムの名前「Nebula」、星にたどり着くという流れに。最後に素敵に締めてくださりとても感激しました。

 

10.wall

 じゃん、おばざ~うぉ~~ ♪

 

!?

...あの、今なんとおっしゃいました?

 

 jump over the wallですね。(自分はラストの3回目でようやく理解しました)

 軽やかに飛んでいきましたね...うえしゃまが楽しそうで何よりです。

 wall、壁といえば物理的なものでなく心理的なものにもそう表現しますね。自分も普段心理的な面でそれを実感することはよくあります。実際にこの曲中での壁ってなんだろうって考えましたが、おそらくいろんなものが当てはまりそうだなと思います。その中でここまでを総括した上で1つ挙げるなら「自分を見つめ直すことへの心理的な壁」があると思います。挫折から立ち直るきっかけになり、さらに自分のことをもっと知りたいという精神的な前進にも繋がっていると思います。

 最後どのように締めくくられるのか気になるところで、正直かなり度肝を抜かれたところもありましたが、上田さんもライナーノーツに綴られていたとおりオンリーワンな曲になっていて聴く側としても最後まで楽しませていただきました。

 

 

さいごに

 ここまでつらつらと思いのまま書いてきましたが、一つ一つの曲に関して歌詞を見てよく聴きながら自分の言葉におこすだけでもなかなか大変でした…

 普段このような芸術チックな曲を聴くこともなければ、このように感想を書き留めることもしない人間だったので身の丈にあわないことしてんなぁって思いながら書いてました。笑(元々頭空っぽにして腹筋!背筋!胸筋!とかひたすら聴いてるような人間ですしね)

 文章もまとまりも無くかなりお粗末な内容だったかもしれません。

 

 しかし、上田さんについて追うようになってからは、自分の中でも精神的な良い変化が多くあり、このように文章を書くことに挑戦するようになったのもその1つだと思います。自分はアニメや声優さんには疎かったり、チーム上田麗奈のみなさんのこともまだ全然わかってなかったりですが、今の自分なりにこのアルバムと向き合えたと思います。今の自分の支えとなっている上田さんの内にに秘められたものを描かれた作品の一つとして、Nebulaを知り、感じ、これからの自分の人生の糧の1つにしていきたいと思います。

 

 

ここまで長々と失礼しました。

目を通してくださった皆様、ありがとうございました!

それでは。